ニュースレター

ニュースレター KabashimaLawJournal 2016年12月発行 Vol.10

楊民弁護士(中国・上海)による法律相談のご報告(弁護士 泊祐樹)

■ はじめに

平成28年11月16日から18日にかけて、楊民(ヤンミン)弁護士を当事務所に招き、中国法に関する無料法律相談を実施いたしました。楊民弁護士は、当事務所が提携しております、中国の大成法律事務所(北京、上海その他中国全土に事務所を展開)所属の弁護士で、上海にある事務所にて普段は執務されております。その法律相談の様子について、簡単にご報告させていただきます。

 

■ 法律相談の実施状況

同法律相談を実施する旨のご案内を皆様に送付させていただきましたところ、当事務所の予想を超える数の相談申し込みを受けました。

楊民弁護士への相談の内容は多岐にわたり、契約書のチェックから実際に生じたトラブルへの対処の方法、海外進出にあたって気を付けるべき中国人バイヤーの特徴などについてのアドバイスを求めるものなど、様々でした。

その中でも、私が相談者と楊民弁護士との橋渡役を担当した相談の中で、契約書チェックの話題になった際に、楊民弁護士が紛争時の裁判所の管轄について指摘をされたのが印象的でした。これは、「紛争が生じたときは、日本の裁判所を管轄とする」という規定を見て、「これだと中国にある財産を強制執行できませんよ。紛争解決のためには、仲裁手続で解決する、という内容にした方がいいですよ。」というアドバイスをされた、というものです。

 

日本と中国は、判決を相互に執行することができることを定めた条約を締結しておりません。ですので、中国の最高人民法院は、「日本との間に互恵関係は存在しない」として日本の裁判所の判決に基づいて中国国内で強制執行をすることはできないとしています。

東京地裁も、「中国で日本の裁判所の同種判決が承認、執行される余地はなく、日本と中国の間には相互の保証があるとは認められない」として、人民法院が損害賠償を命じた判決に基づき、日本国内での財産差し押さえなどの強制執行は認められないと判断しています(東京地裁平成27年3月20日判決)。

楊民弁護士は、実際に他国企業との紛争で、判決を得たにもかかわらず強制執行ができずに苦労された、という経験がおありだそうで、このようなアドバイスは、相談者だけでなく私にとっても大変勉強になりました。

■ ご案内

当事務所は、大成法律事務所と業務提携をしており、中国企業との取引等に関する相談等について、現地の弁護士のアドバイスを受けることができる体制を構築しております。ご相談、お待ちしております。

 

お客様懇談会を振り返って

1.はじめに

平成28年11月18日に、ハイネスホテルにおいて、かばしま法律事務所お客様懇談会を開催致しました。この催しは、昨年に引き続き、日頃お世話になっているお客様に、感謝の気持ちを示すことを目的としたものです。今回は、総勢60名のお客様がお見えになりました。17時から講演会、18時15分から懇親会というスケジュールで開催され、お待ち頂く時間には、顔見知りの方も多く、弁護士や出席の方々どうしで談笑される光景もありました。

2.講演について

①懇談会では、最初に世界的な草刈機メーカーであるとともに当事務所の顧問先企業様であります株式会社オーレックの社長であります今村建二様に、講演をしていただきました。講演のテーマは、「新しい価値作りで明るい未来に貢献」でした。

②社長ご就任前の大変な苦労話や、クレームやピンチをいかにして乗り越えられたか、オーレックが、なぜシェア日本一、さらには世界的メーカーにまで成長していかれたのか、などについてお話ししていただきました。

③すなわち、まず、草刈機の市場が縮小している中、市場を競合他社と奪い合うのではなく、諦めずに世の中に役に立つ、新しい価値ある商品を作り、現在の市場の外に新しい市場を作っていかれたというお話は、業種は異なりますが、閉塞感を感じる今日の経済情勢に対して、とても希望の持てるお話でした。

④また、新たに開発・販売した草刈機に不具合が発生し大きなクレームになり、販売した現地で、お客様のクレームを真摯に聞きながら対応にあたっているとき、今まで以上の改良を考えつき、お客様に、とても喜ばれる草刈機を完成させることができ、しかも、そのお客様がいろんなところで、その草刈機を宣伝してくれたので、あまり営業費をかけずに多量に販売することができたというお話や、

⑤さらに、北日本で多数のクレームが発生したため多数の従業員を現地に派遣して、毎日遅くまで対応にあたらせている従業員に「会社負担で毎日宴会をしてもいい」と従業員を信頼して任せられたお話など、優良企業の経営者としての視点やその他多くのこと学ばせて頂きました。

⑥講演会の感想やアンケートでは、「オーレックの独創性に感動した」、「飾らない今村社長のお話に感銘を受けました」、「すばらしい講演でした」といったご感想が多々あり、とてもご好評でした。

3.懇親会について

講演の後は、盛大に懇親会が行われました。

皆様、非常にリラックスしたご様子で、講演の感想や日頃のお仕事についてなど、お客様同士、また当事務所の弁護士とも歓談され、大いに懇親を深めていただきました。

また、今年最も当事務所主催のセミナーにご参加頂いた企業様は、当事務所から表彰させてもらうとともに、オーレックが付帯事業で製造されている、サツマイモの葉から抽出されたセッケンや青汁を贈呈させてもらいました。

4.楊民弁護士と原信海弁理士も参加

懇談会には、当事務所と業務提携をさせていただいている中国(上海)の楊民弁護士と原特許事務所の原弁理士にもご参加頂きました。

中国への進出や中国企業との提携を考えておられる方や、特許権、商標権などの知的財産権の問題を抱えておられる方も多い中、皆様との懇親を図っていただきました。

5.お礼

お客様には一年間お世話になりました。また、今回のお客様懇談会にご出席頂き、本当にありがとうございました。

6.来年もよろしく

来年も、当事務所は、皆様の業務のお役に立てるような法的サービスやセミナー等を実施するべく、計画中です。

弁護士一同、来年も精一杯頑張りますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

弁護士雑記(1年間の総括):弁護士 寺川忠幸

本年1月に法テラス常勤弁護士の養成として入所しました寺川です。

はやくも養成期間の1年が終わろうとしております。そこで、弁護士法人かばしま事務所での1年間を振り返ってみたいと思います。

■ 当事務所で得たもの

当事務所で、弁護士としてのスタートを切ったのですが、初日から仕事を任せてもらい、大いに戸惑いました。当時は、何をしていいのかわからず、気が重い毎日でした。しかし、今になってみると、この時期が合ったからこそ、「1年目だから」と言い訳することなく仕事をすることができるようになったと思います。

また、多種多様な事件を担当させてもらいました。私が来年から勤務する法テラスの法律事務所では、専ら個人の依頼者、とりわけ家事事件と債務整理事件が大部分を占める、と聞いております。昨今、このように取り扱う業種が限定されている法律事務所が多い、と聞いております。しかし、当事務所では、1年間の間に、債務整理はもちろん不動産の執行、手形に関する事件から、相続、離婚や刑事事件に至るまで幅広く、また多くの事件に携わることが出来ました。

これも、筑後地域に密着して、多数の企業様に関与させていただき、また多くの地域の方々にご利用いただいている当事務所ならではのことだと思います。

そして、当事務所所長の椛島弁護士をはじめとする、各分野に長けた先輩弁護士から多くのことを教わり、議論を交わし、時には失敗をフォローしてもらいました。仕事の外でも酒を酌み交わし話に花を咲かせました。多くの弁護士が所属する当事務所だからこそ、多様な見方をすることができ、事件処理に大いに役立ったのはもちろん、私自身とってたくさんのものを得る事が出来ました。

■ 反省点

反省点としては、もっと多くの勉強会に参加すべきだと思いました。日々の業務の忙しさを言い訳に、参加を見送ることもしばしばありました。しかし、弁護士は引退するまで日々新しい知識を取り入れ、実践して行かなければならない仕事です。今後は、多くの勉強会に参加して、自身の能力に磨きをかけていこうと思います。

■ おわりに

来年は法テラス鹿児島法律事務所にて勤務することとなりました。筑後地区から少々離れてしまいますが、同じ九州でもあります。また、私が司法修習で過ごしたところでもあり、何かの縁を感じております。当事務所で得た経験を基に社会全体に貢献する弁護士になれるよう、よりいっそう精進して参りたいとおもいます。

皆様には、この一年間たいへんお世話になりました。どうもありがとうございました。

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