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ニュースレター KabashimaLawJournal 2015年10月発行 Vol.4

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民法改正について(弁護士竹田寛)

Xさんからの法律相談

私は、知人Aより、「Aが代表取締役となり、新事業を営む会社Y社を立ち上げたいが、開業資金として300万円を融資してくれないか」と懇願され、Aの息子Bを保証人にして欲しいとお願いしたところ、了承を得られました。

私は、自前の紙に、Y社が300万円を借りること、Bがその借入金について連帯保証人になることを記載して、Y代表者Aと、Bに署名・押印をさせました。

しかしながら、返済日になってもY社が返済をしないので、やむを得ず、Bに対して返済を求めようと思うのですが、問題はありますか?

 

第1 はじめに

この質問、現時点では、「特に問題はない。」という回答になります。

しかしながら、そう遠くないうちに、「これだけでは、Bに返済を求めることはできない。」というアドバイスをしなければならないことになりそうです。

平成27年3月、民法を大幅に改正する法律案が国会に提出をされ早ければ平成31年にも施行される予定です。

今回は、このうち、保証に関する新たな規律について、説明していきます。

第2 個人保証で必要となる公正証書

1.現行の民法

現行の民法では、保証契約は、書面でしなければならないという定めはありますが、書面の種類に特に制限はありません。

2.新しい民法の場合

(1)新民法では、下記のように、保証契約を締結するのに大きな規制が加わります。

事業のために貸し付けられた借入金について保証契約を取り交わす場合には、その契約の締結に先立って、契約の日から1箇月以内に、保証人になる予定の者が、借主(「主債務者」と呼ばれます)が借入金を返済しないときはそれを支払う意思があること等を、公正証書によって示していなければなりません。「公正証書」とは、公証人という法律の専門家が作成する文書で、公証役場で作成します。

(2)これは、主債務者との人間関係から、契約内容をよく理解しないままに安易に保証人になり、予想を超えた莫大な負債をかかえるケースが多く見られたことから、経営者ではない一般人が保証人になる場合には、より厳格に意思確認するべきである、と考えられたためです。

(3)民法改正後に、設問にあるような保証契約を取り交わす場合には、下記の手続を踏むことになる予定です。

①Bが、公証人に対し、主債務の内容や、保証債務を履行する意思があることを口頭で伝える(「口受」といいます)。

②公証人が口受の内容を記録して、Bに読み聞かせるか、閲覧させる。

③Bが②で記録した内容に誤りがないことを確認し、それに署名・押印する。

④公正証書を作成して1箇月以内に、BとXとが、保証契約を締結する。

(4) 改正後は、上記の手続を経なければ、保証契約は無効となりますので、設問では、Bに対して、貸付金の返還を求めることはできないことになります。

(5) なお、主債務者が会社などの法人の場合、保証人になる者が、①その会社の取締役等の会社経営者である場合、②主債務者となる法人の株式といった議決の過半数を有する者である場合は、上記規律は適用されません。

■第3 おわりに

実際に改正後の民法が適用されるのは数年先ではありますが、 今後も、改正された場合に変化するであろう実務の運用について、お伝えして参ります。

質問がございましたら、かばしま法律事務所までお尋ね下さい。

 

顧問先インタビュー(株式会社ブリヂストン九州生産本部酒井田総務部長

1.ブリヂストンの理念について

かばしま法律事務所弁護士

ブリヂストンの企業理念について教えて下さい。

酒井田部長(九州生産本部総務部長)

ブリヂストンの創業者、石橋正二郎は17歳で仕立物屋の家業を継ぎ、足袋の専業からズック靴で事業を大きく発展させた後、自動車タイヤの国産化を志して研究と試作を重ねた末に1931年に会社を設立しました。

以来84年、当社は150を超える国で事業を展開する世界一のタイヤ会社となりましたが、14万人を超える世界各国の従業員を束ねているのが、創業者のDNAを受け継いだ「企業理念」です。

これは「最高の品質で社会に貢献」という使命、それからその使命を成し遂げるための「誠実協調」「進取独創」「現物現場」「熟慮断行」という4つの心構えから成っています。従業員の一人ひとりが日々、この「企業理念」を行動の基本軸に据えて努力を重ねております。

 

2.久留米工場の意義について

かばしま法律事務所弁護士

久留米工場はブリヂストンにとってどのような存在でしょうか。

酒井田部長

当社にとってここ久留米工場は、単に発祥の地であるという歴史的な事実にとどまりません。例えば本社で採用した新入社員やグローバルに選抜された経営幹部候補生の研修、また新しく進出した海外工場の技能実習などを始めとする多くの従業員を受け入れ、現在もなお息づく創業者の精神に触れて「企業理念」を学ぶ場となっています。

また、ここ久留米の地には、創業者にゆかりのある施設が数多く残されおり、当社にとって重要なお客様をもてなす特別な地として、久留米工場とあわせて石橋文化センターや迎賓館と呼んでいるゲストハウスなどをご訪問いただいています。

 

かばしま法律事務所弁護士

久留米工場ではどのようなものを生産されているのでしょうか。

酒井田部長

現在の久留米工場は2010年にリニューアルを行い、環境に配慮すると同時に、最新の生産技術を注ぎ込んだ世界でもトップクラスの生産性を誇る工場となっています。

様々な種類のタイヤを生産していますが、主なものとして小型トラック用タイヤが日産約1万本、航空機用タイヤが日産約230本です。それ以外に乗用カート用やモノレール用のタイヤなども生産しています。

かばしま法律事務所弁護士

久留米工場で生産された製品はどのような場所に出荷されているのでしょうか。

酒井田部長

最も生産量の多い小型トラック用タイヤは、国内向けが60%で、そのうちの1/3が新車メーカーの部品用、2/3が一般市場の取替え用として出荷されています。海外向けは40%で、そのうちの半分が中近東・アフリカ、半分がアジア・アメリカ・ヨーロッパなどに出荷されています。

3.今後の事業展開について

かばしま法律事務所弁護士

今後、久留米におけるブリヂストンの事業はどのように展開していくのでしょうか。

酒井田部長

ここ久留米市を中心とした筑後地域では、久留米工場以外にも、朝倉市に甘木工場、鳥栖市に鳥栖工場、上峰町に佐賀工場など多くの事業所がありますが、各工場では、引き続きお客様に安全・安心をお届けできる商品の生産に取り組んでいきます。

また、ブリヂストン吹奏楽団久留米などに代表される、文化的な地域貢献などにも引き続き取り組んで参りたいと思います。

 

4.当事務所との関わりについて

かばしま法律事務所弁護士

かばしま法律事務所には、どのような内

容のご相談をされますか。

酒井田部長

以前は久留米工場や他の工場からの労務や労災についての相談がある程度あったようですが、最近は、タイヤやゴム製品の販売会社やその他の関連会社の債権回収、クレーム処理などの相談が多いようです。

 

かばしま法律事務所弁護士

当事務所で印象に残ったサービスなどありましたら教えて下さい。

酒井田部長

かばしま法律事務所で定期的に実施されているセミナーですね。労務管理に関するセミナ-に弊社も出席していたのですが、知識を整理したり、新しい知識を仕入れるのに非常に良い機会だったと思います。

かばしま法律事務所弁護士

今後、さらにかばしま法律事務所に期待したいことがあればお教え下さい。

酒井田部長

当社グループは各工場だけでなく、物流、販売、各種サービス業に関する各社がありますので、各社のよりよき相談相手になっていただきたいと思います。

かばしま法律事務所弁護士

本日は、お忙しい中でインタビューに応じて頂き、本当にありがとうございました。

 

弁護士雑記:弁護士大野智恵美

■かばしま法律事務所弁護士の大野智恵美です。私は、旅行が好きで、9月の連休に京都へ行ってきました。今回は、京都市美術館のルネ・マグリット(ベルギー出身のシュールな絵を描く画家)展と適当に京都観光をしようと思い、出発しました。結局、無難に有名な観光名所ばかり行ってしまいましたが、とても充実感を得られた旅でした。

■ 1日目は、宇治の平等院鳳凰堂に行きました。左右対称の鳳凰堂が夕日を背に静かに佇む姿が美しく、時間が止まったような感覚を覚えました。

■ 2日目は、宿の近くの東本願寺とその飛び地の涉成園に行きました。東本願寺の本堂(御影堂)は、世界最大の木造建築で、面積4400㎡、畳927枚であり、その圧倒的な広さに興奮しました。涉成園は、35000㎡もある日本庭園で、国の名勝にも指定されています。味わいがあるお庭の美しさのあまり、晴天で夏の暑さの残る昼間にお庭を歩きまわり、体力を消耗してしまいました。

次に、北へ少し歩き、三十三間堂に行きました。今回は時間があり、仏像をじっくり見ることができました。すると、衣服にも細かい模様や色彩が施された跡や天井近くの柱の部分にもうっすらと模様があることに気付きました。前回は、そんな跡にも気付かなかったので、気付いたときは嬉しかったです。

その後は、三十三間堂の裏手の養源院というお寺に行きました(右の写真は、養源院の石畳です)。実は、中学校の修学旅行の時、バスガイドさんから「血天井」のお寺の話を聞き、かなり衝撃的で、ずっと気になっていた場所です。養源院の「血天井」は、徳川家康の家臣鳥居元忠らが伏見城の戦いで自刃した際の血痕の残る床板を供養のために寺の天井に貼ったものと言われています。400年以上も前の戦いのため、素人目には天井の単なる染みにしか見えませんでしたが、係の方の説明で、何となく人が横たわっている形が見えてきて、面白かったです。

■そして、元々予定していた京都美術館に行きました。画集でしか見たことがなかった絵の実物を間近で観ることができ、とても感動しました。年代・時代ごとに画家の思想が変化していく過程の絵をじっくり見ることができ、ルネ・マグリットという画家に対する印象や認識が変わり、人間味を感じることができ、ますます魅了されました。

■今回の旅行では、同じものでも何度も観察することで、気づくことが増えることを実感しました。このことは、物事すべて共通することだと思います。仕事でも、証拠などを丁寧に何度も読み込むことを心がけていきたいと思いました。

 

編集後記

夏が終わり、あっという間に肌寒い季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

毎年、9月を過ぎるとあっという間に1年が終わってしまう気がします。1年というものは非常に短く感じますが、たった1年の間にいろいろな変化も起きています。友人が結婚したり、子供が生まれたり、大変な事件が終了したり・・・。今目の前にある楽しいこともつらいことも、きっと1年後にはまた変わっているんでしょうね。と言っても、まだ今年も6分の1が残っているのですが。このニュースレターでも、変わりゆく日々を皆様にお届けできるようがんばります。

それでは、これから寒さが厳しくなってきますが、ぜひご自愛くださいませ。

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