ニュースレター

ニュースレター KabashimaLawJournal 2019年6月発行Vol.20

~働き方改革~

こんにちは、当事務所の労働事件を主に担当している弁護士の松﨑で御座います。

昨今「働き方改革」の文字が紙面を賑わわせております。平成31年4月1日は改正労働基準法が施行され、時間外労働の上限規制、年5日の有給休暇の取得などが義務づけられました。 さらには、今後も非正規労働者の不合理な待遇格差に関する法改正など、重要な改正が目白押しです。主な改正は以下の通りです。

この中でも、非正規労働者と正規労働者の待遇格差に関する法改正は非常に重要です。法改正以前から、非正規の待遇格差の問題は裁判などでも取り上げられており、昨年6月には、皆勤手当や、その他手当を正規労働者にだけ支給する事は違法だとする判決が出ています。

御社の給与体系上、正規労働者と非正規労働者に格差があるのであれば、この格差が合理的な区別になっているのか、不合理な格差になっているのかについて、1度検証された方が良いと思います。その検証の際には、法改正やガイドライン、裁判例に照らして慎重に検討する必要が御座いますので、是非個別に当事務所にご相談くさい。

しばらくは、働き方改革の実践のために、むしろ総務部の業務量が増えてしまう日々が続いてしまいそうですね。

債権法改正~保証~

1 はじめに

本年4月1日付で弊事務所に入所しました、田中久仁彦と申します。私は、平成28年1月から本年3月末まで、名古屋地方裁判所で裁判官として3年間勤務し、このたび、弁護士職務経験制度というものに基づき、弊事務所にて弁護士として勤務させて頂くこととなりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

本記事では、今般の民法(債権関係)改正のうち保証について、その改正点(実質的変更点)のポイントをご紹介したいと思います。

2 保証に関する改正の概要

⑴ 現行民法では、連帯保証人に対して履行の請求をした場合、その効力は主債務者にも生じる(消滅時効の中断が生じる)とされています(現行法458条、434条)。これに対し、改正法では、連帯保証人に対する履行の請求は、原則として、主債務者に対してその効力を生じない(消滅時効の中断が生じない)とされました(改正法458条、441条)。そのため、主債務の消滅時効を中断させるには、連帯保証人とは別に、主債務者に対して請求をする必要があります(なお、時効の中断は、改正法では「完成猶予」ないし「更新」という表現に変わります。)。

⑵ 主債務者から委託を受けた保証人の請求があったときは、債権者は、主債務の元本や利息等についての不履行の有無、残債務額、弁済期未到来分の額に関する情報を提供しなければならないとされました(改正法458条の2)。これらの情報は、保証人にとって自らの保証債務の内容に影響するものであるため、情報提供義務を債権者に課したものです。

⑶ 個人保証人について、主債務者が期限の利益を喪失した場合には、債権者は保証人に対し、そのことを知ったときから2ヶ月以内にその旨を通知しなければならず、その通知を怠ったときは、保証人に対し、期限の利益を喪失した時点から現に通知を行うまでに生じた遅延損害金を請求することができないとされました(改正法458条の3)。これは、

保証人の知らないところで主債務者が期限の利益を喪失し、遅延損害金が日々蓄積していくことを防ぐために、債権者に情報提供義務を課したものです。

⑷ 現行法では、保証人が個人である貸金等根保証契約については極度額を定めなければならないとされていますが(現行法465条の2)、この規律が個人根保証契約一般に拡大されました(改正法462条の2)。具体的には、不動産賃借人が賃貸借契約に基づき負担する債務の一切を個人が保証する契約等が該当します。

⑸ 事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約や、これを主債務の範囲に含む根保証契約については、原則として、公証人が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認しなければならないとされました(改正法465条の6~465条の9)。この手続を経ない保証契約は無効となります。もっとも、主債務者の取締役が保証人になる場合など、一定の例外があります。

3 おわりに

紙面の都合上、概要のご紹介にとどまりましたが、民法(債権関係)改正の内容は保証にとどまらず、時効、法定利率など多岐にわたるものです。民法改正についてご不明な点等がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

債権法改正~遺留分~

遺留分制度が改正され、令和元年7月1日に施行となります。

1 改正のポイント

① 遺留分減殺請求権から生じる権利が金銭債権になります

② 生前贈与について持ち戻す期間は相続開始前の10年間に限定されます

 

2 遺留分制度とは?

遺留分とは、相続財産のうち、兄弟姉妹以外の相続人に対して、法律で定めた分につきその取得を保障し、その反面、被相続人の自由な処分を制限する制度をいいます。

遺留分を侵害する処分があった場合、侵害された相続人には遺留分の回復を行う権利があり、これを遺留分減殺請求権といいます。

1遺留分減殺請求権の金銭債権化について

令和元年6月30日までに生じた相続では、遺留分減殺請求権の行使の結果、不動産や株式に当然に共有状態が生じることがありました。

令和元年7月1日以後の相続では、遺留分減殺請求権は金銭の支払いを請求することになるので、共有状態が当然に生じることは無くなります。また、遺贈・贈与により特定の財産を与えたいという遺言者の意思が尊重されることになります。

例:経営者である父(被相続人、妻はすでに亡くなっています)が、事業を手伝っていた長男に店舗の土地建物(評価額1億1123円)を、長女に預金1234万5678円を相続させる旨の遺言をしていました。その後父の相続が生じ、長女が遺留分減殺請求権を行使しました。

遺留分の侵害額は

1854万8242円=(1億1123万円+1234万5678円)×1/2×1/2となります。

旧制度(令和元年6月30日まで)では、店舗の土地建物が共有となります。

長男の持分 9268万1758/1億1123万

長女の持分 1854万8242/1億1123万

(9268万1758=1億1123万-1854万8242)

事業用の土地建物が事業と無関係な親族との共有になるのは事業を行う上で大きな支障となりますし、将来相続が生じ持分を持つ者が多数になり処分困難になる恐れがあります。

新制度(令和元年7月1日以後)では、長女は長男に対して1854万8242円を請求することになり、共有関係が当然に生じることはありません。

2支払期限の猶予について

遺贈や贈与等を受けた者が、遺留分減殺請求権を行使された場合、金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。

(1)の例で長女から遺留分減殺請求権を行使された長男が直ちに現金を準備することができない場合、店舗を売却することを強いるのは、事業承継の妨げとなり、父の意思にも反します。そこで、裁判所が支払に相当の期限を与えることによって、長男は事業活動を通じて資金を得ることにより、長期的に長女へ金銭の支払いをすることが期待できるようにしました。

3生前贈与を持ち戻す期間を10年に制限

旧制度は、相続人に対する遺留分を侵害した生前贈与があれば、相続開始の何年前にされたものであっても、遺留分算定の基礎財産に含めることになっていました。

新制度は、相続人に対する贈与は、相続開始前の10年間にされた者に限り遺留分の基礎財産に含めることとしました。

これにより、早期に自社株式を後継者となる方に贈与して、10年間経過すれば、遺留分の問題を回避することができ、計画的に事業承継を行う手段ができました。

 終わりに

今回は遺留分について、ポイントとなるものを説明しました。

今回の改正は遺留分の他、配偶者居住権の新設等、自筆証書遺言の方式の変更、預貯金の払戻制度、特別の寄与をした者の権利の新設など、制度の新設を含む大きな変更がされています。このニュースレターでも順次紹介する予定ですし、当事務所にて新制度の下での相続に関するご相談をお待ちしております。

 

弁護士雑記(自己紹介):弁護士 有滿理奈子

1 はじめに

平成31年12月よりかばしま法律事務所に入所した有滿理奈子(ありみつ りなこ)と申します。生まれは、福岡県北九州市で、九州大学法学部を卒業後、九州大学法科大学院に進みました。司法試験合格後、福岡での司法修習を経て、ここ久留米の地で弁護士としての第一歩を踏み出すこととなりました。

2 弁護士を目指したきっかけ

私は、身近な人や知り合い等が非行に走ったことをきっかけとして、少年事件に強い関心を持ち、付添人として活動する弁護士を志してきました。大学生になってからは、少年友の会の活動、福岡市BBS会の活動にも参加させていただいたりもしました。

そして、大学、ロースクール、司法修習と段階を踏むにつれて、非行のみならず、児童虐待や親子問題等に関わる人々のお話を聞いたり、実際に活動に携わらせていただく機会に多く恵まれました。

そこでの経験等を通して、現在は、非行のみならず、虐待や親子関係、学校問題等、より広い視野を持って、子どものそだち全般を支える弁護士を志しています。

 

3 趣味

読書、映画鑑賞、音楽鑑賞等々、インドアな趣味ばかりです。

読書については、ジャンルの偏りが著しいのですが、休みの日は、1日3冊ほど読む日もあります。映画は、邦画、洋画ともに何でも観ます。

ほかには、美味しいご飯を食べながら美味しいお酒を飲むことが大好きです。特に、昨年から日本酒の美味しさに目覚め、酒造巡りをすることが今年の目標です。

4 最後に

多くの依頼者の方々は、大きな不安を抱えながら相談にこられると思います。そこで、私は、まず、いつでも明るい笑顔でお迎えして、温かい法的サービスを提供できる弁護士を目指しています。

当然のことながら、依頼者の方々の意向は千差万別です。そこで、私は、依頼者の方々の声にしっかりと耳を傾け、依頼者の方々の一人一人の意向を汲み取ることを大切にしたいと考え

ています。その上で、依頼者の方々と共に考え、オーダーメイドの解決を図れるように努力して参ります。

また、紛争の渦中にいる依頼者の方々は、どうしても目の前の問題に精一杯になってしまい、深い苦しみや悲しみに捉われてしまいがちになってしまうと思います。そのときに、私は弁護士として、今目の前に顕在化している問題だけの解決を図ることに注力するにとどまらず、より先の未来まで見据えた解決の方法を模索していきたいと考えています。

まだまだ未熟な身ではありますが、弁護士として依頼者の方々に寄り添い、いつか依頼者の方々自身が未来を語るお手伝いができたらと思います。

私は、生まれも育ちも久留米市ではありませんが、久留米の豊かな自然や、美味しいご飯、美味しいお酒、人々の温かさに触れて、久留米の街が大好きになりました。久留米の皆様のお役に立てるよう、誠心誠意頑張りますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

(編集担当 弁護士 泊祐樹  松本圭史)

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