弁護士コラム

労働問題Q&A【4】

みなさんこんにちは。かばしま法律事務所の弁護士、泊祐樹です。

本日は、労働問題Q&Aの第4回について、掲載させていただきます。

 

第4 高齢者雇用について(法改正危険度:中)

Q26 昨今高齢者雇用に関してもいろんな改正があったと思うのですが、高齢者の雇用に関してはどんな義務がありますか

A26

高年齢者の安定した雇用を確保するための法律の9条1項により、65歳未満の定年を定めている使用者には、以下のいずれかの方策を取る義務が課されました。

①定年の引き上げ

②継続雇用制度の導入

③定年の廃止

 

Q27 ②の継続雇用制度は弊社でも採用しているのですが、希望者全員を再雇用しないといけないのでしょうか。中には勤務態度不良者もいて、再雇用まではしたくないのですが。

A27

原則希望者全員が再雇用の対象となります。そのため、基本的には能力不足や懲戒歴があっても継続の対象となります。ただし、懲戒歴・能力不足も含めて、解雇事由に達するほどの状況であれば、継続雇用の拒否は可能となります。

 

Q28 再雇用前の待遇を維持する必要はあるのでしょうか。さすがに経費がかさむのですが。

A28

賃金を今まで通り保障する必要はありません。また、労働時間等についても今までより短い時間を提案することもでき、労働条件については、柔軟に変更して提案できます。

 

Q29 それでは、最低賃金スレスレの低い条件を提示することもできるのでしょうか。

A29

これは大きな論点です。

JILPTが発表しているデータでは、再雇用組の賃金を従前の7割程度に設定する企業が多いようです。

ですので、従前と業務内容も変わらず、勤務時間も短縮していないにも関わらず、賃金を半額にするといった対応をしてしまうと、高年齢者の生活の安定を目指すという法の趣旨を没却してしまうことになり、違法と判断される可能性が高くなります。

5割カットのように大幅な賃金下げを行う場合には、業務内容を軽くしたり、勤務日数を減らしたりするなどして、賃金を減額する合理的な理由を創出することが必要です。

そのような工夫ができない場合には、最低従前の7割程度の賃金を保障して再雇用の打診をするべきだと考えられます。

 

Q30 それでは、労働条件が折り合わなかった場合についてはどうしたらよいのでしょうか

A30

条件が合意できない場合については、再雇用する必要はありません。

ただし、前の質問の通り、提示した労働条件が合理的内容になっていることが前提となります。つまり、継続雇用制度は、合理的な継続条件を労働者に提示すればよく、必ずしも労働者側の要求をのむ必要はないのです。ただし、提示した労働条件自体に合理性がない場合には、継続雇用の拒否が違法になる可能性があります。

 

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