弁護士コラム

コロナ離婚は増えたのか?~新型コロナウイルスによる離婚問題への影響~

 

弁護士法人かばしま法律事務所の弁護士の大野智恵美です。

2020年も、残り3か月になりましたが、今年は、新型コロナウイルスによる影響で、生活様式を大きく変えざるを得ない年でした。

新型コロナウイルスの流行の兆しが見え始めた頃、世間では、いわゆる「コロナ離婚」が増えるのではないかと言われていましたが、離婚のご相談を受けている感覚としては、いわゆる「コロナ離婚」のご相談は、実際はあまり多くないと感じています。そうかといって、離婚のご相談自体が減っているわけではなく(さすがに緊急事態宣言下では、ご相談の件数自体が減りましたが)、これまで何らかの問題を抱えたご夫婦が、ちょうど新型コロナウイルス禍の時期に離婚を決断されるというのがほとんどだと感じています。

なお、コロナ離婚とは、少し話が逸れますが、最近、離婚のご相談で離婚原因として挙げられる中で、モラル・ハラスメント(モラハラ)が増えてきた印象です。元々、潜在的な問題として存在していたものが、インターネット等で話題に挙がるようになり、それを見た相談者(特にモラハラを受けている方)が自分の場合もそうだと思い、相談するようになったため、離婚原因として増えてきたのではないかと思います。

新型コロナウイルスによる事情で離婚を考えられる方は、そんなに多くはないと思いますが、実際にご夫婦が別居・離婚されるとき、特にお子さんがいらっしゃるご夫婦の場合、新型コロナウイルスの問題が大きく影響してきます。

まずは、婚姻費用(結婚している間の生活費)や養育費ですが、婚姻費用や養育費を支払わなければならない方からは、「新型コロナウイルスの影響で収入が減ったので、婚姻費用や養育費を減らしてほしい。」と主張されることがあります。業種によっても影響の程度が違いますが、新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのか、まだ誰にも分からない状況ですので、将来の収入を予測するのは難しく、悩ましい問題です。この場合、新型コロナウイルスの影響下での収入をベースに、婚姻費用や養育費を一旦取り決め、新型コロナウイルスの影響がなくなり、収入が戻ったときに婚姻費用や養育費の増額を求めるという方法もあります。

また、面会交流についても、原則としては、直接会う方法によりますが、新型コロナウイルスの感染が拡大している時期は、テレビ電話の方法などで実施されるケースもありました。

 

今後、新型コロナウイルスの解明が進み、健康や経済などへの影響の範囲も限定的になってくれば、先ほどの婚姻費用や養育費、面会交流の問題の着地点も決まってくると思われますので、新型コロナウイルスの解明や医学の進歩に期待したいです。

 

 

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