弁護士コラム

コロナウイルスと契約の解消

Q. 私は、令和2年5月に結婚式を予定しておりましたが、新型コロナウイルスによる影響でとても結婚式が挙げられる状態ではないと思い、式場にキャンセルを申し入れました。

ところが、式場からは、キャンセル料として100万円ほどの支払を求められました。

このような場合に、キャンセル料は支払わなければならないのでしょうか?

(回答)

緊急事態宣言が出されている場合など、外出自粛等が強く要請されている状況下における結婚式をキャンセルする場合は、キャンセル料の支払を拒否できる可能性が高いと考えられます。

(解説)

結婚式を執り行う事業者との契約においては、顧客の側から解約を申し入れた場合に、顧客側がキャンセル料を支払わなければならないと定められていることが一般的です。

しかしながら、結婚式を執り行うことが、社会通念上不可能であるといえる場合には、不可抗力によって、結婚式の実施という事業者側の債務が履行不能になったものと考えられます。

新型コロナウイルスによる影響で、いわゆる3密を避けること、外出を自粛することが要請されているような状況においては、不特定多数の者との室内における会食や都道府県をまたいだ移動が避けられない結婚式の開催は、社会通念に照らして不可能であると考えるのが自然でしょう(特に、緊急事態宣言下においては、より結婚式の開催は不可能と評価される可能性が高いと考えます)。

不可抗力によって、事業者側が行うべき結婚式の実施ができない(履行不能)といえる場合には、もう一方の当事者である顧客(新郎新婦)の側も、代金の支払を拒絶できると考えられます(民法536条1項)。

ただし、すでに事業者側がすでに支出した実費分は、顧客側が負担しなければならないでしょう。

なお、契約書上、不可抗力による解約の場合でもキャンセル料を請求できる旨規定されていたとしても、それは消費者契約法10条により、無効となると考えられますので、やはりキャンセル料の支払を拒否できる余地はあるということになります。

 

以上

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